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知らないと損する、虫歯の知識

虫歯は我々の生活に深く関わる問題です。誰もが一度は経験し、治療の為に歯医者に足を運んだことがあるでしょう。
しかし、虫歯の本質、その予防法や治療法について深く知っている人は少ないのではないでしょうか。

ここでは、私たちが適切な予防と早期治療を行うために知るべき虫歯についての基本的な情報を提供します。

私たちの口腔内は数々の細菌によって占められています。その中でも特定の細菌、特にミュータンス菌は、虫歯を引き起こします。

このページでは、ミュータンス菌がどのように虫歯を引き起こすのか、虫歯が進行する過程、それを防ぐための方法、そして当院での治療法について詳しく説明します。

目次

こんなお悩みありませんか?

  • 虫歯の痛みが我慢できない
  • 虫歯が何度も再発する
  • どうして虫歯になってしまうの?
  • 虫歯の予防法が知りたい
  • 虫歯治療で痛みを感じることが怖い
  • 虫歯が進行しているかもしれないと不安

そもそも虫歯ってなに?

ミュータンス菌が歯を溶かす?

虫歯の原因となるミュータンス菌は、我々が食事から摂取する糖をエネルギー源とし、その分解過程で酸を生成します。

この酸は歯の硬組織を溶かす力を持っています。

具体的には、酸は歯の表面を覆っているエナメル質という硬い組織を溶かし、徐々に歯を脱灰(ミネラルの溶出)させます。

唾液が虫歯から守ってくれる?

しかし、ここで注目すべきは、すべてが悲観的な話ではないということです。
私たちの体は素晴らしい自己防衛機能を持っています。

その一つが再石灰化というプロセスです。
これは、唾液中に含まれるカルシウムやリン酸などのミネラルを使って、酸によって溶かされた歯のミネラルを補給し、脱灰された部分を修復する能力を指します。
この再石灰化と脱灰のバランスが虫歯の進行を決定します。

これを表現するものがステファンカーブです。
ステファンカーブは、口腔内のpHレベル(酸性度)が食事後どのように変化するかを示し、食事と虫歯進行の関係を視覚化しています。

食事を摂ると、ミュータンス菌が糖を分解して酸を作り、その結果として口腔内のpHレベルが下がります(酸性に傾きます)。

一定の時間が経過すると、唾液が働いて口腔内のpHを中性に戻すとともに、再石灰化が進行します。

しかし、食事の頻度が増えると、口腔内が常に酸性状態になり、脱灰が進行しやすくなります。これが虫歯の進行を促進する一因となります。

だからこそ、食事の間隔をあけること、そして口腔内環境を健康に保つことが重要となります。

再石灰をサポートするために、適度なフッ素の摂取や正しい歯磨き方法、十分な水分摂取なども重要です。また、定期的な歯科検診も早期発見と早期治療につながります。

虫歯になる条件

虫歯になる条件

虫歯が形成されるための4つの条件は、「歯」、「細菌」、「糖」、「時間」で、これらがすべて揃うと虫歯が生じます。

これらは「カイスの輪」という概念で視覚化されています。

●歯

まず、"歯"とは、もちろん虫歯が形成される対象であり、エナメル質や象牙質などから成り立っています。

歯の表面は通常、唾液により保護されていますが、細菌によって生じた酸にさらされると、その保護機能が脱灰(ミネラルが溶け出す現象)によって弱まります。

●細菌

次に、「細菌」です。口腔内には無数の細菌が存在し、その中にはミュータンス菌などの虫歯を引き起こす細菌も含まれます。

●糖

そして「糖」です。私たちが摂取した糖類をエネルギー源として利用し、その過程で酸を産生します。

●時間

そして最後の要素が「時間」です。一度酸が産生されても、すぐには虫歯は形成されません。

酸が一定時間以上歯に接触し続けると、歯表面の脱灰が進行し、ついには虫歯(穴)が形成されます。

カイスの輪はこれらの要素がどのように連携して虫歯を形成するかを示しています。そのため、虫歯の予防には、これらの要素すべてに対する対策が必要となります。糖分の摂取を控えめにする、適切なブラッシングで口腔内を清潔に保つ、食後の口腔内のpH回復を促す、などの対策が有効です。

虫歯の進行状況

虫歯のステージ、知っていますか?

それでは、虫歯の各ステージについて、より詳しく解説していきましょう。

1
Co(初期虫歯)

Co(初期虫歯)

CO:このステージでは、虫歯はまだ始まったばかりで、エナメル質(歯の最も外側の層)の脱灰(酸によるミネラルの流出)が起こっています。

見た目には白斑と呼ばれる白い斑点が現れます。

痛みや不快感はまだ感じられないため、気付きにくいですが、この段階で適切なケアをすると虫歯の進行を防ぐことができます。

2
C1(エナメル質の虫歯)

C1(エナメル質の虫歯)

C1:この段階では、虫歯はエナメル質を完全に貫通し、象牙質(歯の二番目の層)まで到達します。

虫歯が進行して小さな穴が開きますが、通常は痛みはまだ感じられません。

しかし、早期の治療が重要となります。

3
C2(象牙質の虫歯)

C2(象牙質の虫歯)

C2:このステージで虫歯はさらに象牙質を進行します。

象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、虫歯はこの段階で急速に広がります。

痛みや感度が高まることもあります。

4
C3(神経まで達した虫歯)

C3(神経まで達した虫歯)

C3:虫歯は象牙質を深く侵食し、歯の大部分を占めるようになります。

この段階では、冷たい飲食物や甘いものに対する敏感性が高まり、しみる感覚や激しい痛みを伴うことがよくあります。

トピック

チョコレートがしみるのはなぜ?

歯は、外側のエナメル質、真ん中の象牙質、そして中心の歯髄の3つの層からできています。この中でも、象牙質は非常に興味深い部分です。なぜなら、象牙質の中には「象牙質管」という微細な管が無数に存在し、この管の中には液体が流れているからです。

冷たいものや甘いものを口にすると、この液体が象牙質管内で動き出します。特に、チョコレートのような濃度の高い甘いものを食べると、液体は濃度の均衡をとるために急激に動きます。この液体の動きが歯の神経を刺激し、「しみる」と感じる痛みを生じさせるのです。

ここで、簡単な例を考えてみましょう。水槽に塩を入れると、水中で塩分が均一になるように塩分が動きます。このような原理で、チョコレートを食べた時の液体の動きが、我々が感じる「しみる」痛みの原因となるのです。

さらに、虫歯によりエナメル質が欠けたりすると、象牙質が直接外部の刺激にさらされ、しみる感じが強くなります。これは、象牙質がエナメル質よりも柔らかく、刺激に敏感であるためです。

この「しみる」感じを軽減するためには、特定の歯磨き粉や治療が考案されています。これらは、象牙質管を一時的に塞ぐことで、液体の動きを抑える効果が期待されます。

5
C4(歯根まで達した虫歯)

C4(歯根まで達した虫歯)

C4:最も重度の虫歯のステージで、虫歯は歯髄(歯の中心部)に到達します。

歯髄には神経と血管があり、ここに虫歯菌が到達すると炎症や感染を引き起こし、激しい痛みを伴うことがあります。

虫歯の進行は個々の生活習慣や口腔環境によって大きく異なるため、定期的な歯科検診が重要となります。

初期の段階で虫歯を見つけることができれば、より簡単で、保存的な治療で問題を解決することができます。

当院での虫歯に対するアプローチ

痛みの少ない虫歯治療

我々のクリニックは、可能な限り痛みを最小限に抑えた虫歯治療を提供しています。
また、患者の方々が自身の歯を保持できるような治療法を追求しています。

虫歯の各段階に対してのアプローチは以下の通りです。



痛みの少ない虫歯治療

CO

COステージでは、虫歯はまだ初期段階で、自然の再石灰化という過程により修復可能です。

この段階では、積極的な治療よりも予防が重要となります。

【実施する治療】

歯磨き及び歯磨き指導

患者様のブラッシング技術を確認し、必要に応じて改善のアドバイスをします。
正しいブラッシング方法を身につけることで、虫歯の進行を防ぎます。

歯磨き及び歯磨き指導
フッ素塗布

フッ素は歯のエナメル質を強化し、虫歯菌による酸への耐性を高めます。
これにより、虫歯の進行を防ぐことができます。
もちろん大人の永久歯にも有効です。

C1(治療回数:1回

C1段階の虫歯は、歯の外層、エナメル質にのみ影響しています。

この段階では虫歯の深さや進行度を正確に判断するために、当院では「ダイアグノデント」という先進的な機器を使用します。

ダイアグノデントは、レーザー技術を用いて歯の中の虫歯の進行度を非侵攻的に測定することができ、高い精度で初期の虫歯を検出することが可能です。

【実施する治療】

ダイアグノデントの使用

初めにダイアグノデントを用いて、虫歯の位置と深さを正確に確認します。
この機器による測定結果が基準値以上の場合、次の治療へと進みます。

ダイアグノデントの使用
コンポジットレジン

ダイアグノデントにより治療が必要と判断された場合
MI(ミニマルインターベーション)の考え方に基づき、最小限の歯質を削ることで、歯を健康に保つことを優先します。

コンポジットレジンを用いて虫歯部分を修復することで、自然な色合いを持つこの詰め物は、歯との調和が取れ、長期的にも安定した結果が期待できます。
MIのアプローチは、歯をできるだけ多く保持し、治療における侵襲を最小限に抑えることを目的としています。このアプローチを取り入れることで、治療後の歯の健康と機能性が向上します。

レジン補填の流れ

C2(治療回数:1~3回

C2段階では、虫歯が歯質の深い部分、特に歯の象牙質まで到達しています。

象牙質はエナメル質よりも柔らかく、虫歯が進行しやすい部分です。この段階の虫歯は、しばしば患者さんに痛みや違和感をもたらすことがあります。

麻酔を使用し、痛みを感じずに治療を受けられるよう配慮します。

【実施する治療】

コンポジットレジン

C2の虫歯は、歯質の深部に達しているため、処置はより緻密に行われます。
虫歯の進行により歯の強度が低下している場合もあるため、コンポジットレジンを使用して歯の形状と強度を回復します。

インレー

インレーは、歯の一部が大きく損傷している場合に選択される修復法です。
歯を削った後、型を取り、その型に合わせてセラミックや金属で詰め物を作成します。

インレーは歯科技工所でカスタムメイドで作られるため、フィット感が非常に高く、長期間の耐久性が期待されます。
歯の形状や色、噛み合わせの調整など、細部までこだわった治療が行われるため、自然な仕上がりとなります。

インレー製作の流れ

【注意事項】

C2段階の治療後、特に初めの数日間は、冷たいものや熱いもの、甘いものに対する過敏症を感じることがあります。

C3(治療期間:1カ月~数カ月

C3段階の虫歯は、歯の神経にまで進行しています。

この段階では歯の痛みが強くなることが多く、神経が感染するとさらに重度の痛みや腫れ、口臭などの症状が現れることがあります。

【実施する治療】(①根幹治療→②クラウン)

①根管治療

まず、神経を取り除く作業が行われます。取り除いた後、根管内を清掃し、細菌や感染源を除去します。

根管内部をしっかり洗浄・消毒した後、生体適合性のある材料で根管を詰めます。これにより、再び細菌が根管内に侵入することを防ぎます。

根管治療を終えた歯は、その後しばらく観察が必要です。感染が完全に治まったことを確認するためです。

根管治療

②クラウン

根管治療を終えた歯は、元の強度が低下していることが多いです。そのため、歯を守り、機能を回復するためにクラウンが装着されることが推奨されます。

クラウンは金属やセラミックなど、様々な材料で作られます。患者様のニーズや予算に応じて、最適な材料が選ばれます。

正確なフィット感を得るため、歯の形を取り、それに基づいてクラウンが製作されます。完成したクラウンは歯科医師によって歯に固定されます。

クラウン

【注意事項】

根管治療は複数の診療が必要となることが多く、治療の間隔や回数は個々の状況により異なります。

麻酔が切れた後の痛み個人差があります。痛みが強い場合、痛み止めの使用や再診を検討してください。

根管治療後はしばらくの間、食事やブラッシングに注意が必要です。歯に過度な負担をかけると、歯が欠けたり折れたりするリスクがあります。

C4(治療期間:数カ月~半年

C4段階の虫歯は、歯の根部に深く進行しており、一段と深刻な状態です。

この段階での虫歯は、歯の神経を超えて進行していることが多いため、痛みやその他の症状が強まる可能性が高まります。

【実施する治療】

①根管治療での保存

C3の段階で取り組む根管治療の延長として、C4の虫歯でもまずは歯の保存を目指します。

C3での根管治療と同じ手法で、感染した神経組織を取り除き、その後のクラウンによる保護を通じて、歯の寿命を最大限伸ばすアプローチをとります。

しかし、この段階では感染の広がりや状態によっては、歯の保存が難しい場合も考えられます。

②抜歯とその後の処置

万が一、歯の保存が難しいと判断された場合、健康を維持するための最終手段として抜歯を検討します。

抜歯後の対処方法としては、ブリッジ、インプラント、入れ歯などが考えられ、患者様のライフスタイルや希望に応じて最適な方法を選択いたします。

ブリッジ

ブリッジ製作の流れ

メリット

- 固定式:取り外しの必要がなく、日常生活での違和感が少ない。
- 自然な見た目: 両隣の健康な歯との一体感があり、外見が自然。
- 即時の機能回復: 噛み合わせや話すときの機能が速やかに戻る。

デメリット

-隣接歯への影響: ブリッジを支えるために、隣接する健康な歯を削る必要がある。
-耐久性の限界: 一般的に10~15年の持続が期待されるが、永続的な解決ではない。

インプラント

インプラント

メリット

長期の耐久性: 正しくケアすれば、20年以上持続する可能性が高い。
自然な使用感: 実際の歯に最も近い使用感を持つ。
骨の吸収抑制: 歯根として機能するため、顎の骨吸収を抑制できる。
隣接歯を保護: 他の健康な歯を削る必要がない。

デメリット

高コスト: 他の治療法に比べて初期費用が高くなることが多い。
治療期間: 抜歯後の骨がしっかり治癒するまでの期間が必要。

入れ歯

入れ歯

メリット

- 費用: 他の方法に比べて費用が抑えられる。
- 即時の解決: 抜歯後、すぐに製作・装着が可能。
- 取り外し可能: 清掃やメンテナンスが容易。

デメリット

- 違和感: 固定式でないため、動きや違和感を感じることがある。
- 骨の吸収進行: 入れ歯を使用すると、顎の骨が継続的に吸収されるリスクがある。

よくある質問

虫歯とは具体的に何ですか
虫歯は歯の硬組織が細菌の作用によって溶解・破壊される病気です。
虫歯の初期症状はどのようなものですか?
虫歯の初期症状には、歯の色が変わる、特定の場所で食べ物が詰まりやすくなる、冷たいものや甘いものに敏感になるなどがあります。
何故虫歯は黒くなるのですか?
虫歯が進行すると、歯の組織が分解される過程で生じる色素や、細菌の代謝産物などが歯に付着・蓄積され、黒く見えることがあります。
虫歯治療は痛いですか?
その虫歯の深さや位置によりますが、一般的には30分から1時間程度です。ただし、複数回の治療が必要な場合もあります。
虫歯を放置しているとどうなりますか?
進行すると歯の神経に到達し、強い痛みを引き起こすことがあります。最終的には歯を失うリスクもあります。
虫歯治療の後に注意すべきことは?
治療直後は麻酔の影響で食事や飲み物の温度を感じにくくなるため、火傷や噛み傷に注意が必要です。
また、しばらくの間は硬い食物は避けることを推奨します。
歯のヒビや欠けは虫歯とどう関連していますか?
ヒビや欠けた部分は細菌が侵入しやすくなるため、虫歯のリスクが増加します。

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